星野 弘治
あなたはどこにいたか
「わたしが天地を創造したとき、あなたはどこにいたのか。」 私たちは、時には何でも知っているかのように錯覚してしまうことがあるのではないだろうか。
上記の問いかけは、今回紹介する人物に問いかけられたものだった。もし、あなたも同じ質問を受けたら何とお答えになるだろうか。「そんなこと誰が知るか。」と一笑にふしてしまうには余りにも重い問いかけのようだ。と言うのは、今回登場する人物はこの問いかけに正面から向き合い、それによって自分が何者であるかを悟り、大きな祝福にあずかったからだ。
宗教心篤い彼だったのに・・・
今回登場する人物は、その地域で彼の右に出る者はいないほどの富豪だった。その上、彼は宗教心の篤い人物でもあった。その彼に次々と災難が降りかかったのだ。
家畜は盗難や異変で全滅、7人の息子も3人の娘も大風で倒壊した家屋の下敷きで全員死亡。しかし、これらの知らせを聞いた時、彼は地にひれ伏して礼拝し、一言も愚痴をこぼさなかった。実に、彼の宗教心は本物だった。その彼に、さらに追い打ちをかけるように全身悪性の腫物ができたのだ。
見る影もない彼の姿
3人の親友が彼に悔みを言い慰めの言葉をかけようとやって来た。しかし、友の変わり果てた姿を見た彼らは声を上げて泣き、1週間一言も声をかけることができなかった。
彼は、ついに自分の生まれた日をのろう言葉を吐くようになった。苦しむ彼を見かねた親友たちはようやく口を開き、あなたには必ず隠れた罪があるに違いない、不正があるに違いないと迫る。神は、罪のない者にこんな仕打ちをされるはずがない。隠れた罪を告白して神からの赦しを得るようにと諭すのである。こうして、悔みと慰めを言うために来たはずの彼らは自分たちが得た神理解で彼を諭し、彼は彼で自分の正しさ、身の潔白さを主張するのだった。
創造主ご自身が仰せられた
しかし、ついに創造主なる神は彼の叫びに応えられ、彼の無知さ加減を暴露すると共に、この世界の誕生から始め自然界の営みの一つひとつを語られたのだった。この世界を造られた方がどのような方であるかを悟ったとき、宗教心の篤い彼だったが「今、この目であなたを見ました。」と告白し、今までの知ったかぶりを心から悔い改めたのだった。さらに彼は、何と友のために執りなし祈る者に変えられた。その時から、彼は以前にも増して祝福され、天寿を全うした。
あなたも、創造主なる神の語りかけに真摯に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
聖書の言葉
「さあ、わたしはあなたに尋ねよう。わたしに答えてみよ。わたしがこの世界を創造した時、あなたはどこにいたのか。」